1 部活動指導方針策定の背景

部活動は、スポーツや文化及び科学等に興味や関心のある同好の生徒が参加し、部活動顧問の指導のもと、学校教育の一環として行われており、体力や技能などの向上を図る目的以外にも、同年齢や異年齢の仲間との交流を通じて、生徒同士や生徒と教師等との好ましい人間関係の構築を図り、学習意欲の向上や自己肯定感、責任感、連帯感の涵養に資するなど、生徒の多様な学びの場として、教育的意義は大きい。

しかし、全国的な傾向でもあるが、近年、少子化が進展する中、部員数の減少や顧問の不足といった部活動に制限や制約が生じていることに加え、部活動に対する生徒や保護者の期待やニーズの変化、生徒の健康面や望ましい集団づくりへの配慮、さらには部活動指導にあたる教師の多忙化が課題となっており、部活動の在り方に関し見直しが求められている。

このような現状や課題を踏まえ、これまで各学校で大切にされてきた部活動を今一度ふり返るとともに課題解決を図るため、平成29年12月に文部科学省が取りまとめた「学校における働き方改革に関する緊急対策」、平成30年3月にスポーツ庁が策定した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」、平成30年4月に京都府教育委員会が策定した「京都府部活動指導指針」を踏まえ、市内各中学校の体育系及び文化系の部活動指導全体の適正化と一層の充実・発展を目指し、中学校における部活動指導の基本的な事項や留意点等をまとめた「舞鶴市部活動指導方針」を策定した。

各学校においては、本方針を踏まえ、部活動の運営や指導の適正化とさらなる充実を図り、部活動が生徒の健やかな成長に寄与することを期待するものである。

 

2 学校教育の一環としての部活動

部活動の意義については、平成33年4月より全面実施となる「新中学校学習指導要領」、及び「京都府部活動指導指針」で示されているとおり、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養、互いに協力し合って友情を深めるといった好ましい人間関係の形成等に資するために学校教育の一環として行うものである。

 

新中学校学習指導要領における部活動の位置づけ

第1章 総則  第5 学校運営上の留意事項

1 教育課程の改善と学校評価、教育課程外

ウ 教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特に、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。

その際、学校や地域の実態に応じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い、持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする。

 

京都府部活動指導指針による部活動の意義

部活動は、学校教育活動の一環として、興味と関心を持つ同好の生徒が、教員等の指導のもと自主的・自発的に行うものであり、より高い水準の技術や記録に挑戦したり、発表会等に参加したり、活動を実践する中で、楽しさや喜びを味わい、学校生活に豊かさをもたらす意義を有している。

また、同好の生徒の自主性を重んじて行われることで、生徒が互いに協力し合って友情を深めるなど、好ましい人間関係の形成に資するとともに、体力の向上や健康の保持増進を図り、生涯にわたってスポーツや文化及び科学等に親しむ態度や豊かな人間性を育む基礎となるものである。

 

3 部活動の適切な運営のための基準設定等

部活動指導においては、生徒が学習をはじめとする学校内や学校外での活動や家庭での生活がバランスよく行えるようにする観点と教師の教科指導等の部活動指導以外の業務や勤務負担軽減とのバランスという観点から、部活動の適切な練習時間と休養日、活動計画について次の通り基準を設定する。

(1)練習時間・休養日の設定

ア 練習時間

・ 練習時間は、合理的でかつ効率的・効果的な練習を行い、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」及び「京都府部活動指導指針」の規定に準じ、平日は2時間程度まで(朝練習は含む)、長くとも2時間30分以内、土・日曜日及び祝日に実施する場合でも原則3時間程度まで、長くとも3時間30分以内とする。(準備や片付け、移動時間は含まない。)

・ 長期休業中の練習については、原則平日のみの実施とし、練習時間は土・日曜日及び祝日に実施する場合に準ずる。

イ 休養日

・ 休養日は、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」及び「京都府部活動指導指針」の規定に準じ、週当たり土・日曜日を含む計2日以上の休養日を設定すること。平日は、原則水曜日を休養日(ノー部活デー)、土・日曜日はどちらか一日を休養日とする。ただし、中学校体育連盟が主催する大会及び文化部活動のコンクール等(以下「大会及びコンクール等」)の直前練習期間を除く。

・ 大会及びコンクール等の直前練習は、大会及びコンクール等の実施日から最大で4週間前からとする。

・ 大会及びコンクール等の直前練習や当日の参加などで、土・日曜日の両日とも活動する場合は、どちらか一日を休養日として同じ週に振り替えて、確実に週2日間の休養を取らせること。ただし、大会やコンクール等の実施日から1週間前や大会やコンクール等に勝ち残り、さらに長い活動が必要な場合は、校長の承認により、他の週に休養日を設けることを条件に例外を認める。

・ 定期テスト等の前は、学習に集中する環境を整えるため、部活動を中止する期間を1週間程度設ける。

・ 8月中旬及び年末年始は、「教育活動を行なわない日」とし、生徒に十分な休養を与えるとともに、部活動以外にも多様な活動を行うことができるよう、ある程度長期の休養期間を設ける(1週間程度を推奨)。

 

(2)方針及び活動計画(年間・月間)の策定

ア 校長は、市の「舞鶴市部活動指導方針」に則り、毎年度、「学校の部活動指導方針」を策定すること。

 各部活動顧問は、部活動運営の目的を示した上で、長・中・短期的目標を立案し、練習、大会やコンクール等の活動について、年間及び月間のスケジュール表を作成すること。

イ 各部活動顧問は、年間スケジュール表は4月中に、月間スケジュール表は前月中に作成し、校長に必ず提出し承認を得るとともに、生徒、保護者に周知し部活動への理解に努めること。(学校の部活動指導方針、活動計画等は学校ホームページ等に掲載することが望ましい。)

エ 活動計画については、生徒が学習をはじめとする学校での活動と家庭での生活がバランスよく行えるようにするとともに、保護者の経済的負担には十分配慮し、連盟等が主催する大会への参加や練習試合等の回数を精選すること。

 

4 指導の在り方

(1)適切な指導

ア 医・科学の研究成果を習得し、指導において積極的に活用すること。

イ 成長期にある生徒のスポーツ障害・外傷やバーンアウト等を予防するとともに、心理面の疲労回復のために、適切な練習時間や休養日を設定する等、合理的でかつ効率的・効果的な練習を行うこと。

ウ 発達の個人差や女性特有の健康問題(エネルギー不足、無月経、骨粗しょう症等)について、正しい知識を持ち指導に当たること。

エ 大会やコンクール等で勝つことのみを重視し、過重な練習を強いることがないようにすること。

 

(2)体罰・不祥事(スクール・セクハラ等)の防止

ア 体罰の禁止

・ 部活動では、指導と称して殴る・蹴る等はもちろん、懲戒としての体罰も禁止である。

・ 生徒の人間性や人格の尊厳を損ねたり、否定したりするような発言や行為は許されない。

・ 体罰は、直接受けた生徒のみならず、その場に居合わせ目撃した生徒の後々の人生にまで、肉体的、精神的に悪影響を及ぼすという認識をもつこと。

イ ハラスメント行為等の禁止

・ セクシュアル・ハラスメント

指導者と生徒の人間関係の中で、親しさ等のつもりの発言や身体的接触などが、生徒を不快にさせる性的言動となる場合があり、不快に感じるか否かは、生徒によって個人差が見られることから、指導者の言動を生徒自身がどのように感じ、捉えるかが非常に重要であることを指導者は常に認識しておかなければならない。

・ パワー・ハラスメント

指導者と生徒の人間関係の中で、言葉や態度による脅し、威圧・威嚇的発言や行為、嫌がらせ等、また身体や容姿に係ること、人格否定的(人格等を侮辱したり否定したりする)な発言等はあってはならない。

 

(3)安全管理と事故防止

ア 安全管理体制の確立と怪我・事故等の防止

・ 計画的な活動により、各生徒の発達の段階や体力に係る疲労状況や精神状況、技能の習得状況等を適切に把握し、無理のない練習となるよう留意すること。

・ 他の部と活動場所を共有する場合は、顧問間の連携等により、生徒同士の接触・衝突の回避や球技等では防球ネットを配置するなど、安全対策を講じること。

・ 怪我・事故等が起こった場合の医療機関・関係者等への連絡体制の整備や心肺蘇生法(AED設置状況及び使用方法等)など、対応マニュアルを作成し、周知すること。

・ 顧問がやむを得ず直接練習等に立ち会えない場合、他の部の顧問等と協力した上で、あらかじめ安全面に十分に留意した活動時間、活動内容や方法を生徒に指示するとともに活動内容や状況を事後把握すること。

イ 施設・設備・用具等及び健康・気候の安全管理

・ 関係の施設、設備、用具等の定期的な安全確認を徹底すること。

・ 熱中症の対策として、「暑さの指数」をチェックすること。

・ 気象変化の対策として、落雷、突風などの急激な気象変化の情報収集すること。

 

5 部活動指導員・部活動外部指導者の活用に関する留意事項

(1)部活動指導員

ア 部活動指導員は、技術的な指導ができるとともに、学校教育に関する知識を持つとともに理解をしていること。

イ 部活動指導を統括し、生徒への直接的な指導を行うとともに、部活動顧問と同等の指導ができる者として、土・日曜日を含む練習の単独指導、大会参加生徒の単独引率、必要に応じた大会運営に係わる業務(審判、事務)等を行うこと。

ウ 教育委員会及び学校は、部活動指導員に対し、部活動指導、生徒指導、生徒の発達段階等に関する内容の研修を行う。また、各関連団体との連携のもと、各種目に関する内容、指導法に関する内容等の研修についても実施すること。

 

(2)部活動外部指導者

ア 部活動外部指導者は、校長の統括管理のもと、顧問の教諭と連携・協力しながら技術的指導及び補助等を行うこと。

 

6 今後の部活動運営の在り方

(1)学校全体での部活動マネジメントの確立

ア 校長は、教育委員会の方針に則り、校内の「学校部活動指導方針」を策定

・ 公表し、部顧問が作成する活動計画を精査するとともに、活動状況の把握を行うこと。

イ 校長はリーダーシップを発揮し、部活動は学校教育の一環であることを踏まえ、部活動数の精選や顧問配置等、部活動マネジメントとして学校組織全体での取組を進めること。

ウ 校内の部活動顧問会で、部活動の意義、運営や指導の在り方、各部活動の活動内容等について検討するとともに、生徒の健康状態、心身の発達状況等について情報交換や共有する場を整え、共通理解のもと指導できる体制を構築すること。

エ 教育委員会及び校長は、円滑に部活動を実施できるよう、スポーツ少年団等の地域のスポーツ団体との連携、保護者の理解と協力、部活動指導員や外部指導者の任用・配置を積極的に促進するなど、地域におけるスポーツ環境整備を進めること。

オ 校長は、体罰やハラスメント行為等の防止に向け、校内研修を充実させること。

カ 学校、指導者、生徒、保護者、地域等の間で、十分な説明と相互の理解のもとで運営・活動できるようにすること。

 

(2)部活動の指導体制

ア 顧問の指導上の留意点

・ 顧問は、部活動の運営方針や指導者自身の指導理念を一方的に押しつけるのではなく、生徒との意見交換等を通じて生徒の多様な部活動へのニーズや意見を把握し、生徒の主体性を尊重しつつ、各活動の目標、指導の方針を検討、設定すること。

・ 顧問は、効果的な指導に向けて、自分自身のこれまでの実践や経験に頼るだけでなく、指導の内容や方法に関して、大学や研究機関等での医・科学的な理論や科学的根拠等の研究成果を積極的に収集・理解し、指導において活用すること。

・ 顧問は、必要に応じて、技術的な指導や援助等について、地域等の外部指導者の活用を検討すること。

イ 顧問の複数配置

・ 部活動が指導者の個人的な考え方や方針による閉鎖的で不適切な活動にならないよう複数顧問の配置に努め、管理職や同僚の教職員が適切な指導や助言が行えるよう校内体制を整え、開かれた活動にすること。

・ 顧問を可能な限り複数配置し、活動中の事故発生時等の対応について、応急処置や対応マニュアルに基づいた関係機関への連絡体制など、適切かつ迅速に対応できるようにする。

・ 顧問の複数配置により、当番制で指導に当たるなど、顧問に過度の負担が生じないよう努めること。

ウ 顧問の勤務時間管理

・ 校長は、顧問の長時間勤務の解消等の観点から、複数顧問による連携や部活動指導員等の活用により、適正な勤務時間管理を行うこと。

 

(3)大会の精選・大会運営及び業務の関わり方

ア 校長は、教育的意義、生徒及び顧問の心身への負担軽減の観点から、参加する各種大会等を精査するとともに、顧問の大会運営及び業務の関わり方についても、日常の校務等に支障をきたさない範囲の運営体制を整えること。

 

(4)家庭及び地域等との連携

ア 各部活動における指導方針や年間(月間)指導計画等を明確にし、入部時や保護者会等で生徒や保護者に十分に説明し、理解や協力を得ること。

イ 保護者会等を実施するなど、学校からの様々な情報提供や保護者のニーズを把握し、互いに情報共有をすることにより、部活動の運営や指導の改善、生徒の状況把握等に努めること。

ウ 地域等の各種関係団体や組織へ情報発信を積極的に行い、理解や協力を十分に得ること。